立教学院展示館、戦時下の立教と詩人と

福島 穆 記(1960年卒)

出陣学徒壮行会

卒業生の皆さんは旧図書館が「立教学院展示館」として装いを改め、創立以来の歴史を知るための貴重な資料を一般公開していることをご承知でしょう。年代の故でしょうか、注目を引きますのが先の大戦に強制的に動員された先輩学徒の方々の姿です。特に有名なのが昭和18年10月21日、明治神宮外苑競技場で挙行された壮行会です。下記の写真と説明文がすべてを語ってくれます。

なんという屈辱ではありませんか。白旗は投降するときのもの。十字が校旗にデザインされているのは、我らの建学の精神の表徴でしょう。一命を国家に捧げんと壮行会に動員された諸先輩の胸中に思いをいたすとき、小生は思わず落涙してしまうのです。この写真は日本ニュースという映画の映像から撮った貴重なものです。

また、このパネルの反対側に展示されている、学徒兵渡邊太平氏が母親に宛てた実物の軍事郵便も胸を打つものがあります。同氏はフィリピンで米軍との戦闘で戦死。入学後わずか3か月で徴兵されたのです。無念であったでしょう。

尹東柱(ユン・トンジュ)

韓国で最も人気があり、日本でも愛読者の多い朝鮮半島出身の詩人「尹東柱(ユントンジュ)」のコーナーが設けられているのも、誇っていいでしょう。彼の生涯は下記の写真が語ってくれます。

日本の敗戦がもう半年早ければ彼は何とか生き永らえたのですが、残念ながら、獄死してしまいました。亡くなった2月にはチャペルで、追悼の集まりがありましたが、コロナで中断しています。
立教のマーク入りの用紙に書かれたハングルの詩2編(コピー)が展示されています。

平和記念の碑

立教ではチャペルの内壁に、「名誉之戦死者」というタブレットが掲げられて戦没学徒を追悼しています。この他にチャペル脇に人知れず小さな戦没碑が埋め込まれておりその下には戦没者名簿が収められています。これと同じ聖句を刻んだ記念碑がニューヨークの国連本部にあります。

今日の「平和」と立教の建学の精神の一つである「自由」は先輩方の貴重な犠牲の上に成り立っていることを思い感謝の念で一杯になります。

Comments are closed